Blog
ブログ
新規事業は「作れない」のではな...
サービス・事業
新規事業は「作れない」のではなく「届かない」——45%がGTMフェーズで止まる理由

半年かけて作り切った。デモの評判も悪くない。社内レビューも通った。それなのに、リリースから三ヶ月が経っても受注は片手で数えられる件数のまま動かない。会議では「認知が足りない」「営業の工数が取れていない」という話になり、施策だけが積み増されていく。——なぜ売れていないのかを、誰も同じ言葉で説明できない。
「プロダクトが悪いとは思えないんです。」
新規事業の担当者から、この一言を何度も聞いてきました。まっとうな実感です。開発が破綻して撤退した事業より、作り切ったのに市場で動かなかった事業のほうが、現実にはずっと多い。技術的に不可能だったわけでも、品質が低かったわけでもない。ものはある。それでも売上が立たない。
国内の調査データも、同じ場所を指しています。新規事業が最も停滞するのはGTM(Go-To-Market)フェーズで、45.2%(出典:日本PMM市場レポート2026/プロデリア・パートナーズ、n=166)。開発フェーズと答えた企業は13.3%にとどまります。作れないことより、届かないことのほうが、3倍以上の頻度で事業を止めている。
この記事では、なぜ「作れた」のに「届かない」が起きるのかを、症状の側から分解します。原因を精神論に回収せず、どこで何が抜け落ちているのかを見えるようにするところまでを扱います。
1. 新規事業が止まるのは開発ではない——データが示す停滞地点

新規事業が最も止まりやすいのは、企画でも開発でもなく、市場に出したあとの局面です。国内166社への調査では、最も停滞するフェーズとしてGTM(市場投入)を挙げた企業が45.2%で最多。次点は立ち上げ後のスケールで22.9%、企画フェーズが18.7%、開発フェーズは13.3%でした(出典:日本PMM市場レポート2026/プロデリア・パートナーズ、n=166)。
停滞の3分の2以上が、プロダクトが完成したあとに起きている。この事実は、社内で語られる原因論とほとんど噛み合いません。多くの会議では、遅れの理由が開発リソースや仕様調整の話として扱われます。しかし数字が示しているのは、作る前後ではなく、届ける段になって事業が動かなくなるという構図です。
もう一つ見落とされやすいのが、次点に入った「立ち上げ後のスケール」の22.9%です(同調査)。GTMフェーズと合わせれば、市場に出したあとで止まっている事業が全体の7割近くを占めることになります。最初の数件は取れたのに、そこから先が伸びない。この症状は初期の受注が個別対応で成立している場合に典型的に現れます。
GTMとは何か——一文で定義する
GTM(Go-To-Market)とは、開発したプロダクトを市場に投入し、狙った顧客に届けて選ばれる状態をつくるまでの、一連の設計と実行を指します。
広告や販促の計画だけを指す言葉ではありません。狙う顧客を定め、その顧客が今それを選ぶ理由を組織全体で共有し、実際の営業活動まで一続きにする。ここまでが設計として扱われて、はじめてGTMは機能します。施策の一覧表はGTMではない、というのがこの記事の出発点です。
「作れない」問題と「届かない」問題は、まったく別の病気である
この二つは、症状の出方が似ているために混同されます。どちらも「事業が計画どおりに進んでいない」という形で報告されるからです。しかし原因の在り処が違えば、打つべき手も変わります。
作れない問題は、技術・要件・体制の問題です。可視化しやすく、責任の所在もはっきりしています。誰が遅れているのか、何が不足しているのかを特定できる。
一方で届かない問題は、担当者の顔が見えません。プロダクトは完成している。営業は動いている。マーケティングも施策を打っている。全員が仕事をしているのに、事業だけが進まない。この状態では、原因の指摘が個人の努力量の話にすり替わりやすくなります。
「売れない」と「届いていない」を分けて考える
現場で「売れない」と表現される事象は、実際には複数の異なる状態を含んでいます。比較検討された結果として選ばれなかったのか、そもそも比較のテーブルに乗っていないのか。あるいは、担当者には刺さったが決裁が通らなかったのか。
これらはすべて「受注ゼロ」という同じ数字になります。しかし、負けた場所が違えば必要な打ち手はまったく違う。競合に機能で負けているなら機能や価格の話になりますが、検討候補にすら入っていないなら、機能をいくら足しても数字は動きません。
ここが、本記事の核心です。新規事業の停滞は、多くの場合「どこで負けているかが分からない」という状態そのものから生まれています。
2. 新規事業がGTMフェーズで止まる、3つの理由

GTMフェーズでの停滞は、意思決定の順序・責任の所在・原因分析の打ち切りという3つの構造から生まれます。心当たりがあるかどうか、自社の状況と照らし合わせながら読み進めてください。
理由①:「何を作るか」は決まっていたが、「誰のどの状況で使われるか」は決まっていない
新規事業の初期に決まるのは、たいてい「何を作るか」です。市場の伸び、技術の可能性、既存アセットとの相性。これらは投資判断の言葉であり、稟議を通すためには必要な情報です。
しかしこの段階で決まっていないことがあります。その機能を、誰が、どんな場面で、何の代わりに使うのか。この問いに答えが出ていないまま開発が始まると、完成した瞬間に別の問題が発生します。誰に売ればいいのかを、誰も具体的に言えない状態でリリースを迎えるのです。
「中堅企業の管理部門」「DXを推進したい製造業」といった粒度は、市場規模の説明としては成立します。しかし営業が明日アポを取る相手のリストにはなりません。その差が、リリース直後の三ヶ月で決定的に効いてきます。
国内調査では、GTMで最大の難所として「ポジショニング・価値定義」を挙げた企業が27.1%で最多でした(同調査)。この数字は、届け方以前に「何者として市場に立つか」が決まっていない企業が多いことを示しています。
この段階で行われるのは、たいてい市場調査です。市場規模を算出し、競合を一覧にし、想定顧客のペルソナを作る。いずれも必要な作業ですが、これらは「その市場が存在するか」を確かめる資料であって、「その顧客が今、何を諦めているか」を捉える資料ではありません。前者が揃っていても、後者が空欄なら、届ける段で言葉が出てこない。
理由②:届ける仕事が、どの部署のKPIにも乗っていない
新規事業の立ち上げ期に、届ける仕事の担当者が明示的に置かれることは多くありません。開発は開発部門が持ち、販売は営業部門が持つ。ではその間、つまり「何を、誰に、どう語ると選ばれるのか」を設計する仕事は誰が持つのか。
この問いに対する答えが空欄のまま進むと、仕事は自然と余白に落ちます。事業責任者が兼務し、他の意思決定に押し流されて後回しになる。あるいはマーケティング担当が資料を作り、営業が現場で作り直し、両者の言っていることが少しずつずれていく。
調査でも、組織の課題として「責任の所在が不明確」を挙げた企業は44.6%、「顧客インサイトの社内分断」は42.2%、「企画・営業・マーケ間の共通認識の欠如」は30.7%に上ります(同調査)。つくる役割と届ける役割の分担が明確かどうかを5段階で聞いた設問では、平均2.4、明確でないと答えた層が56%を占めました(同調査)。
この症状は、組織図の問題として現れません。誰も手を抜いていないのに成果が出ない、という形で現れます。関連する構造は戦略が「組織」で止まる理由でも扱っています。
理由③:売れない原因が「営業の頑張り」に回収され、そこで分析が止まる
リリースから数ヶ月、数字が動かないとき、社内で最初に検証されるのは活動量です。商談件数は足りているか、リードは供給されているか、営業は新規事業を優先しているか。
この検証には意味があります。ただし、ここで原因が確定してしまうと、そこから先の分析が止まります。「もっと数を打とう」という結論は、次の四半期にも同じ結論を再生産する。半年経っても、なぜ負けているのかの解像度は上がっていません。
実際には、営業が語れていないのは意欲の問題ではなく、材料の問題であることが少なくありません。なぜこの顧客が、今、この課題のためにこれを選ぶのか。その論理が組織の中で言語化されていなければ、営業は自分の経験で補うしかない。結果として、売れるかどうかが個人の力量に依存します。
この論点は、新規事業が"売れない"のは営業のせいではないでも別の角度から掘り下げています。
3. 国内外のデータが示す、失敗の在り処の一致

新規事業の失敗要因は、国内調査でも海外の事後分析でも、資金や技術ではなく市場との噛み合わせに集中しています。ここでは国内の実態調査と、海外スタートアップの撤退分析を並べます。
海外の撤退分析:資金枯渇は結果であって、原因ではない
CB Insightsは、2023年以降に事業を停止したVC出資済みスタートアップ431社の公開情報を分析しています。最も多く挙がった要因は資金の枯渇で70%にのぼりますが、同社はこれを最終的な死因であって根本原因ではないと位置づけています。より本質的な要因として示されたのは、プロダクトと市場の噛み合わせの悪さが43%、タイミングの誤りが29%、成立しないユニットエコノミクスが19%でした。
注目すべきは、市場との噛み合わせの失敗が初期段階の企業だけの問題ではないことです。シリーズB以降の20社も、主要因としてこれを挙げています。資金調達を重ね、組織も拡大した企業が、同じ場所で止まっている。
国内調査:課題の自覚はあるが、止まる場所が特定できていない
国内では、GTMに何らかの課題を感じている企業が87%に達します(出典:日本PMM市場レポート2026/プロデリア・パートナーズ、n=166)。一方で、今後12〜24ヶ月でPMM体制を新設または増員する予定と答えた企業は61%(同調査)。課題は認識され、投資の意思も固まりつつあります。
それでも停滞が解消されないのは、課題の認識と、止まっている場所の特定が別物だからです。「GTMが弱い」という自覚から、「どの局面の、何が抜けているか」までの距離は遠い。前者は感覚として持てますが、後者には構造的な分解が要ります。
届ける役割は、事業企画の側から立ち上がっている
国内では、PMMに相当する役割を担う人材の出身領域として、事業企画・経営企画が40.4%で最多、次いでマーケティングが36.7%、PdMが21.1%と続きます(同調査)。新規事業の出身者は10.2%です。事業の全体像を見てきた人材が、届ける役割へ移動している構図が読み取れます。
この移動が起きる理由は、届ける仕事が部門横断の情報を必要とするからです。顧客の状況、競合の動き、営業の勝敗、プロダクトの制約。どれか一つの部門だけを見ていては、翻訳の材料が揃いません。新規事業の担当者がこの役割に近い位置にいるのは、必要な情報がすでに手元に集まっているからです。
裏を返せば、情報が集まる場所に役割が置かれていない組織では、翻訳は起きません。データは各部門に散らばったまま、誰も接続しないという状態が続きます。組織課題として「顧客インサイトの社内分断」を42.2%が挙げているのは、この構図の反映です(同調査)。
この二つのデータから読み取るべきこと
国内の停滞地点と海外の撤退要因は、別々の調査でありながら同じ結論を指しています。事業が死ぬのは、作れなかったからではなく、市場との接続に失敗したからだということです。
そして接続の失敗は、資金繰りや営業成績という「後ろ」の指標で表面化します。指標が悪化した時点では、原因はすでに数ヶ月前に発生している。数字を見て動くだけでは、常に手遅れの位置から対処することになります。
出典:CB Insights「Why Startups Fail: Top 9 Reasons」/日本PMM市場レポート2026(プロデリア・パートナーズ、n=166)
4. 事例:作れたのに届かなかった製品と、作り直さずに届いた製品
同じ製品でも、市場での置き場所が変われば結果は逆転します。ここで並べる二つの事例は、開発力ではなく届け方が結果を決めた対照例です。
事例①:Amazon Fire Phone——技術も資本もあった製品が、6週間で値崩れした
背景
Amazonは2014年6月に初の自社スマートフォンを発表しました。開発には数年が費やされ、顔の動きに合わせて画面表示が変化する独自機能など、技術的な差別化要素を備えていました。資本も流通網も、当時すでに世界最大級です。
やったこと
同年7月25日、AT&Tの独占契約付きで2年契約199ドルという価格で市場に投入されます。既存の高価格帯スマートフォンと正面から競合する位置づけでした。
何が変わったか
発売から6週間後、契約付き価格は0.99ドルまで引き下げられます。同年第3四半期、Amazonは1億7000万ドルの評価損を計上し、8300万ドル相当の在庫を抱えたことを明らかにしました。翌年には生産を終了しています。
この事例から読み取るべきこと
製品は完成していました。作れなかったわけではない。問題は、既存の選択肢と何が違うのかを、購入を検討する人が理解できる形に置けなかったことです。独自機能は説明できても、なぜ今使っている端末を捨ててこれに乗り換えるのかという問いには答えていなかった。価格を100分の1にしても在庫が動かなかった事実が、それを示しています。値引きで解決しない停滞は、価格の問題ではありません。
出典:Variety「Amazon Takes $170 Million Write-Down on Fire Phone After Disappointing Sales」/GeekWire「Amazon takes $170M write-down on Fire Phone」
事例②:Febreze——中身を変えずに、置き場所だけを変えた
背景
P&Gが1998年に投入した消臭スプレーは、当初「悪臭を消す」製品として市場に置かれました。技術的には評価されていましたが、売上は伸びませんでした。
やったこと
調査チームは、実際に愛用している利用者を訪ね、使われ方を観察します。そこで見つかったのは、臭いを消すためではなく、掃除を終えたあとの仕上げとして使っている姿でした。この発見を受けて、製品は「掃除の締めくくりに使うもの」として置き直されます。
何が変わったか
1998年夏の刷新から2ヶ月で売上は倍増し、1年後には2億3000万ドルの規模に達しました。製品の中身は変えていません。
この事例から読み取るべきこと
売れなかった理由は性能ではなく、顧客の生活のどこに置かれるかが決まっていなかったことでした。「悪臭を消す」という価値は、自宅の臭いを自覚していない人には届きません。届ける相手の状況を捉え直した瞬間に、同じ製品が別の商品になった。新規事業で問われているのは、多くの場合プロダクトの改良ではなく、置き場所の再定義です。
出典:The New York Times Magazine「How Companies Learn Your Secrets」(Charles Duhigg、2012年2月19日)
5. 二つの事例に共通する構造——「作る」と「届ける」の間に落ちるもの

二つの事例が示しているのは、プロダクトの完成度と市場での成否が別の軸にあるという事実です。片方は完成度が高くても届かず、もう片方は中身を変えずに届いた。両者を分けたのは、顧客の状況に対する解像度でした。
落ちているのは「翻訳」の工程である
作る側は、機能・仕様・技術的優位性の言葉で事業を語ります。売る側は、目の前の顧客の課題と予算と決裁の言葉で語ります。この二つの言語は、放っておいても接続しません。
接続には、機能を顧客の変化に翻訳する工程が必要です。「AIが搭載されている」ではなく「新人が三ヶ月かかっていた作業を初日からこなせる」。この翻訳がないまま資料が配られると、営業は自力で言い換えるしかなくなります。そして言い換えは人によってばらつく。同じ製品が、商談ごとに違う商品として説明されることになります。
症状は、必ず組織の末端から現れる
翻訳の欠落は、上流では見えません。事業計画にも、開発の進捗にも表れない。最初に異変が出るのは、顧客と接している場所です。
営業ごとに商談での説明が違う
同じ資料が、相手が変わると通用しなくなる
失注理由が「価格」に集中しはじめる
導入した顧客の使い方が、想定と食い違っている
これらは個別のトラブルとして処理されがちですが、並べると一つの構造を指しています。市場に対して何者であるかが定まっていない。だから相手によって説明が揺れ、価格でしか比較されなくなる。
もう一つ、症状として現れやすいのが社内での説明コストです。経営会議のたびに事業の説明をゼロから組み立て直している場合、市場での立ち位置が固定されていない可能性があります。定義が定まっていれば、説明は更新で済みます。毎回作り直しているなら、そもそも定義が存在していない。
新規事業において、PMMが担える領域
PMM(Product Marketing Manager/プロダクトマーケティングマネージャー)は、この翻訳の工程を職能として引き受ける役割です。業界共通の整理では、担当領域はおおむね次の4つに分かれます。
インサイト——顧客が実際にどの状況で困っているかを捉える
ポジショニング——市場の中で何者として立つかを定める
メッセージング——その立ち位置を、相手に伝わる言葉に翻訳する
セールスイネーブルメント——営業が選ばれる理由を再現性をもって語れる状態にする
新規事業でこの4領域が誰の担当にもなっていない場合、症状は前述のとおり末端から出ます。国内調査では、PMMが今後重視する業務としてGTM戦略の設計を挙げた企業が56.6%で最多でした(同調査)。事業を止めている場所と、PMMが期待されている場所は一致しています。
役割の線引きについてはPMMのGTM戦略設計とは何か、組織の動かし方についてはPMMが組織を動かすための技術でそれぞれ扱っています。
6. まず、自社の足元を点検する3つの問い
自社の新規事業がどこで止まっているかは、次の3つの問いに即答できるかどうかで見当がつきます。答えを用意する必要はありません。詰まった場所が、そのまま抜けている工程を示します。
問い①:直近の失注案件について、比較検討された末に負けたのか、検討の候補に入っていなかったのかを、区別して説明できるか。
この二つは、同じ「失注」として記録されます。しかし前者は機能や価格の勝負であり、後者はそもそも認識されていないという別の問題です。区別できていない場合、打ち手は当てずっぽうになります。案件を思い浮かべて、どちらだったかを言えるかどうか。
問い②:営業担当者3人に「なぜこの製品が選ばれるのか」を別々に説明してもらったとき、同じ論理が返ってくるか。
資料の文言が揃っているかではなく、選ばれる理由の構造が揃っているかを見ます。ここがばらついていれば、翻訳の工程が個人に委ねられている状態です。強い営業がいる組織ほど、この問題は成果の陰に隠れます。
問い③:この事業が「誰の、どの状況の」課題を解いているのかを、社内の非担当者に30秒で説明できるか。
説明の長さは、定義の曖昧さに比例します。市場規模やトレンドから話し始めなければ説明できない場合、顧客の状況が特定されていない可能性があります。
おわりに:「売れていない」と「届いていない」は違う
新規事業の会議で語られる「売れない」という言葉は、多くの場合、複数の異なる状態を一つに束ねています。届いていないのか、届いたうえで選ばれなかったのか。選ばれなかったとして、何と比較されたのか。
この区別がつかないまま施策を足していくと、費用と時間だけが積み上がります。認知施策を打ち、資料を作り直し、価格を下げる。どれも間違った打ち手ではありませんが、原因と対応していなければ効きません。
停滞している事業の多くは、能力の不足ではなく、分解の不足によって止まっています。作る力はある。売る力もある。その間にある、市場に対して何者であるかを決めて全員に配る工程が、誰の仕事にもなっていないだけです。
そして分解は、外部の支援がなくても着手できます。失注案件を二つに分ける。営業三人に同じ質問をする。今週中にできることばかりです。難しいのは作業そのものではなく、原因が営業活動の外側にあるかもしれないと疑うところにあります。
45.2%という数字は、多くの企業が同じ場所でつまずいていることを示しています。裏を返せば、ここは個社の特殊事情ではなく、構造として扱える問題だということです。
自社の新規事業は、届いていないのか、選ばれていないのか。まずその一つを分けるところから始まります。
PMM組織診断(無料・10問)
自社が5つの組織タイプ(手探り型/受身型/作りっぱなし型/個人技型/自走型)のどれかを、6軸のレーダーで可視化します。新規事業が止まっている場所の当たりをつける材料になります。
日本PMM市場レポート2026(無料・n=166)
本記事で引用した停滞フェーズ・組織課題・体制計画の全データを収録しています。
関連記事
Prodelia Academy — PMMキャリアを体系的に歩むためのプログラム
Prodelia Partnersでは、PMM Operating System™に基づく実践型トレーニングプログラム「Prodelia Academy」を提供しています。新規事業の停滞を「届け方の設計」として扱い直したい方に向けた内容です。体系的に学びたい方はぜひ事業内容をご覧ください。
よくある質問(FAQ)
Q. 新規事業が売れないのは、営業力の問題ですか?
営業力が原因であるケースは、実際には多くありません。国内調査では新規事業が最も停滞するフェーズはGTM(市場投入)で45.2%を占めており(出典:日本PMM市場レポート2026/プロデリア・パートナーズ、n=166)、組織課題としても責任の所在の不明確さが44.6%で上位に入ります。営業が語れていない場合、意欲ではなく、選ばれる理由が組織内で言語化されていないことが原因である可能性を先に検討する必要があります。
Q. GTMフェーズで止まっているかどうかは、どう見分けられますか?
失注理由を分解できるかどうかが目安になります。比較検討された末に負けたのか、そもそも候補に入っていなかったのかを区別できない状態は、市場での立ち位置が定まっていないことを示します。加えて、営業担当者ごとに製品の説明が食い違う、失注理由が価格に集中する、といった症状が同時に出ている場合、原因は営業活動ではなく届け方の設計にあります。
Q. PMF(プロダクトマーケットフィット)が取れていれば、GTMは後回しでよいですか?
後回しにはできません。PMFは特定の顧客群で価値が成立したことを示す状態であり、その価値を他の顧客にも届く形にする作業は別途必要です。海外のスタートアップ撤退分析でも、シリーズB以降の企業が市場との噛み合わせの悪さを主要因に挙げています。PMFの確認とGTMの設計は連続した工程であり、切り離すと拡大局面で同じ停滞が再発します。
Q. 新規事業にPMMは必要ですか?専任を置く余裕がない場合はどうすべきですか?
専任の肩書きよりも、機能が誰かの責任として置かれているかが重要です。国内では何らかの形でPMM機能が存在する企業が92%ある一方、専任の肩書として置いている企業は28%にとどまります(出典:日本PMM市場レポート2026/プロデリア・パートナーズ、n=166)。兼務で始める場合も、顧客の状況把握と市場での立ち位置の決定を誰が持つのかを明示することが出発点になります。
Q. 新規事業のGTMは、何から着手すべきですか?
現状の把握から始めるのが確実です。具体的には、直近の失注案件を「比較されて負けた」「候補に入らなかった」に分類し、営業が語っている選定理由を複数人から集めて突き合わせます。この二つだけで、抜けている工程がどこかの見当がつきます。施策の追加は、停滞地点を特定したあとで判断しても遅くありません。
一覧ページに戻る
