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【プロデリアアカデミー導入事例|NEC(日本電気株式会社)】PMM人材を「型」で育てる——BluStellar Scenarioを担う組織の、年間伴走研修プログラム導入

PMMというジョブは、組織として先に立ち上がりました。人も配置されました。次に必要だったのは、その仕事を誰もが同じ言葉で語れる状態にすること。——NECが外部の型を導入した理由は、そこにあります。
プロデリアアカデミー導入事例サマリー
項目 | 内容 |
企業名 | 日本電気株式会社(NEC) |
取り組みの舞台 | 価値創造モデル「BluStellar」を構成する BluStellar Scenario |
導入前の課題 | PMMの仕事を語るための共通言語がまだ整っておらず、進め方が個人の経験に委ねられていた |
取り組みのテーマ | PMMに共通言語を導入し、スキルの底上げと平準化を図る |
導入サービス | Prodelia Academy 法人向けPMM人材育成研修プログラム(年間伴走型・全10回) |
実施期間 | 2026年6月〜2027年3月 |
対象者 | 選抜制。PMM人材をレベル別に定義したうえで、重点スキルの評価と各組織の育成責任者の推薦により選出 |
話し手
日本電気株式会社 プロダクト&サービス関係部門 BluStellar事業推進部門 BluStellarシナリオ統括部 AIトランスフォーメーショングループ ディレクター 秋元健吾 氏
プロデリア・パートナーズ株式会社 代表取締役社長 CEO 吉澤 和之
NECは2024年5月、DX事業の核であった「NEC Digital Platform」を、価値創造モデル「BluStellar」へと進化させました。BluStellar は、プロダクト&サービス、それらを顧客ニーズに合わせて組み合わせたオファリング、そしてオファリングを経営課題軸で束ねて型化した BluStellar Scenario の三層で構成されています。
秋元健吾氏は、BluStellar事業推進部門 BluStellarシナリオ統括部 AIトランスフォーメーショングループのディレクターとして「売り物・売り方の変革」を担っています。顧客に寄り添った個別SIで培ってきた知見や実装力を生かしながら、成功事例やノウハウをオファリングとして型化し、再現性高く展開する事業モデルへと発展させています。 事業そのものを、型で届ける形に組み替えていく仕事です。
その組み替えが進むほど、次の問いが立ち上がってきます。型で届ける事業は、型で届けられる人がいて初めて回る。では、その人はどう育てるのか。2026年6月に始まったPMM(Product Marketing Manager/プロダクトマーケティングマネージャー)人材育成プログラムは、この問いへの答えとして導入されました。
1. 課題—ジョブはできた。足りなかったのは、共通言語だった

BluStellar の推進に合わせて、既存の組織と人は、PMMというジョブを担う組織と人に変わる必要がありました。一方で、秋元氏には最初から見えていた課題がありました。
秋元
最大の課題は、事業の企画から売り物・売り方の変革までを担える人材がごく一部に限られ、成果が個人の経験に依存していたことです。足りていなかったのは人数ではありません。その仕事を組織として語るための言葉のほうでした。何を基準に良し悪しを判断し、何をもって一人前とするのか。そこがまだ、社内で共有されていなかったんです。
対応できる人がいなかったわけではありません。むしろ、できる人はいます。ただ、その人たちに共通していたのは、SEとして技術を、営業として現場を、ソリューション企画として全体設計を経験してきたという、偶然の積み重ねのような職歴なんです。私自身もその一人でした。振り返れば、その回り道こそが今のPMMの役割そのものだったのだと思います。
問題は、同じ道のりを歩んだ人が社内にそう多くはないことでした。個人の経験則だけを頼りにしている限り、その機能は一人分の大きさから広がっていきません。会社を成長させるためには、どのようなスキルやケイパビリティが必要なのかを定義し、そうしたPMM的な人材がまだいない領域にも、それを身につけてもらう必要がありました。ところが、私たち自身にそういう人材を育てた経験がなく、どこから手をつけるべきかが大きな悩みでした。
定義がないことの影響は、教える側だけにとどまりません。
秋元
新しいジョブを作り、そこに人をアサインしても、本人は何から始めればよいか分からない。何を身につければPMMとして一人前なのかが見えないまま走り出すことになります。育てる側も、頼れる基準がないまま、一人ひとりのやり取りの中でその都度答えを探すしかない。経験者が一人ずつ教える方法では時間がかかりますし、教え方にもばらつきが出ます。
2. なぜ「型」というソリューションに目を向けたのか—属人的な優秀さは、組織の速度にならない

この構図は、NECに限った話ではありません。日本PMM市場レポート2026でも、「つくる役割と届ける役割の分担の明確さ」は5段階中2.4にとどまっています(出典:日本PMM市場レポート2026/プロデリア・パートナーズ)。ジョブが先に立ち上がり、定義があとから追いかける。日本のPMM組織の多くが、同じ順序をたどっています。
この課題に対して、優秀な人を増やすという解き方もありえます。ただ両者の見立ては、それでは事業の速度に届かない、というものでした。
吉澤
創業時から、PMM育成には絶対に型が必要だと考えていました。PMMの仕事は長く属人化され、何でもできる“スーパーマン”が、組織内のボールを拾い続けることで成立してきた面があります。これは、PMMがBizDevと呼ばれていた時代から大きく変わっていません。私もそういったキャリアをずっと積んできた一人なので、その大変さは身をもって分かっているつもりです。
そういう人が組織にいれば、目の前の案件は回ります。ただ、その人の頭の中にあるものは他人に渡せません。同じ人をもう一人育てようとすれば、また同じだけの年数がかかってしまう。
秋元
まさに私たちの課題と一致していました。PMMには複数の領域を見渡せる視野が求められますが、社内だけで育てようとすると、どうしても経験談しか伝えられません。
吉澤
なぜ視野の広さが必須要件になるのか。これはPMMという職種の構造そのものから来ていると考えています。SaaSやプロダクトを主語にGTM(Go-To-Market)を設計する場合、一つの部門スキルだけでは完結しません。営業、開発、UIUX、マーケティング、カスタマーサクセス、インサイドセールスなど、複数職種の専門性を理解し、総合的にGTMを組み立てる必要があります。従来の縦割り組織では、縦の知識は身についても、横断的な視点は身につきにくい。だからこそ、職種横断で考えるための共通の型が必要です。
縦割りの組織で縦の経験を積んだ人が、たまたま複数の縦を渡り歩いたときにだけ、横の視野が育つ。これが従来の育ち方でした。型というのは、その偶然を設計に置き換える手段なんです。
秋元
その通りだと思います。私たちが「PMM」という三文字を知ったのは、比較的最近のことなんです。そして調べていくうちに、自分が経験則でやってきたことが、プロデリア・パートナーズの「PMM OS」という形ですでに体系化されていると知りました。名前も型もあるんだと分かって、これを活用すれば、人材育成と組織課題の解決を一気に前へ進められるのではないかと感じました。
吉澤
フレームワークには、アカデミックな知識だけでなく、PMMとして必要なマインドセットも含めています。知識だけを渡しても、土壇場での判断や、答えのない場面での踏み出し方までは再現できません。スキルとマインドセットの両方を型にすることで、スーパーマンでなくても成果を再現できる状態を目指しています。
3. 検討—社内では見つからなかった解決策

秋元
外部のプログラムを探す前に、まずは自分たちで作れないかを検討しました。社内の有識者から知見を集め、シナリオを企画・開発する人材像とプロセスを整理していく。この作業自体は着実に形になっていったんです。
手が止まったのは、集めた知見をどう育成プログラムへ組み立てるか、という段階でした。市場を読む研修、価格を設計する研修、営業に手渡す研修。個々の仕事を扱う研修なら、社内にも社外にもすでにあります。足りなかったのは、そうした部品ではありません。それらをどの順番で並べ、どうつなげれば一人のPMMに仕上がるのか。その設計図のほうでした。
個別の役割を育成する研修は存在しても、複数の役割やプロセスをつなぎ、全体を一つの仕組みとして学べるものは、なかなか見つかりませんでした。
その設計図を自力で引くには、相応の時間がかかります。判断を保留していたところに届いたのが、社内からの一報でした。同じテーマにすでに取り組んでいる人物がいる、という情報です。
大きな組織には、大きな組織なりの強みがあります。社内のどこかにはすでに動いている事例があり、外部の有力な情報を持っている人もいる。規模が大きいほど、そうした点と点が社内で自然につながっていく可能性も上がるんです。今回は、まさにその情報がうまくつながったのだと思います。
その情報を確認したうえで、秋元氏は内製の検討にひとまず区切りをつけます。決め手になったのは、費用でも実績でもありません。PMMの型が、すでにPMM OSとして一つにまとまって存在していたことでした。
秋元
体系化された型に、しかもOSという一つのまとまった形で出会えたことは大きかったですね。ばらばらの知見をかき集めて自分たちで型に仕立てる必要がなかった。もし出会っていなければ、社内で独自にプロセスと研修をゼロから組み立てていたと思います。ただ、それでは会社や市場が求めるスピードに追いつけなかった可能性があります。一から検証しながら作るのと、すでに検証済みのものを使わせてもらうのとでは、かかる時間がまるで違いますから。
一から作るとなれば、プロセスの整理から教材化、試行、改訂まで年単位の工程になります。その間にも市場は動き、BluStellarの事業計画は前へ進みます。完成した頃には、前提のほうが変わっているかもしれない。育成が事業の後ろを走り続ける構図をつくらないこと。それが、外部の型を選んだ一番の理由でした。
外部の型を使うこと自体に抵抗を持つ企業は、いまや少数派です。外部の研修・型・コンサルの活用に関心があると答えた企業は78%にのぼります(同調査)。分かれ目になるのは関心の有無ではなく、社内で作った場合に何年かかるかを具体的に見積もったかどうかです。
4. 設計—「研修を受けること」を目的にしない、共創型の伴走

導入が決まったあと、設計で最も重視されたのは、学びを実際の事業と役割の中で使い、事業成長と人材育成を接続することでした。
項目 | 研修内容 |
期間・回数 | 2026年6月〜2027年3月/全10回 |
進め方 | 初回はPMMの全体像、2回目から具体的な実務フレームへ。参加者の反応と理解度を見ながら、難易度・表現・アジェンダを毎月調整する前提で合意 |
選抜 | PMM人材をレベル別に定義。重点スキルに対する本人の自己評価と上司評価をすり合わせ、各組織の育成責任者による推薦を反映 |
受講者層 | 役職は担当者から管理職まで。経験値にも幅がある |
設計思想 | 研修の受講自体を目的とせず、学びを実際の事業と役割で使う。事業成長と人材育成を接続する |
年間の研修プログラムは、開始前にアジェンダを固めてから走り出すのが一般的です。今回はその前提を置かず、課題感や組織の状況に応じて、両者ですり合わせながらの完全カスタマイズで設計されました。
吉澤
最初から年間計画を固定するのではなく、段階的に進めています。内容の難易度が受講者にとってどう感じられるかは、実際にやってみるまで確定できないんです。だから参加者の反応や理解度を見ながら、難易度、ニュアンス、アジェンダを毎月調整する。それを前提として最初に握らせていただきました。
秋元
状況把握から同じ目線で行い、柔軟に調整してもらえる点は、今回ご一緒できたことの大きなメリットのひとつだと思います。受講者は担当者から管理職まで役職の幅がありますし、PMM的な動き方をすでに知っている人もいれば、まったく初めての人もいる。そこを画一的に進めるのではなく、様子を見ながら変えていただけるのは、正直かなり助かっています。
そしてもう一つ、開始前に時間をかけたのが言葉の擦り合わせでした。私たちには社内で定義済みのプロセスと用語があり、外部のメソッドが持ち込む言葉と重なる部分があります。ここを放置すると、同じことを指しているのに二つの語彙が並走してしまう。もし同じ概念でも言葉が違った場合、受講者には別物として受け取られかねません。
そこで、私たちのプロセスや用語を丁寧に共有し、研修内の表現を合わせてもらっています。ここで言葉を揃えておかないと、この後この型を他の組織にも広げていくときに、また一から翻訳し直すことになってしまいますから。
もう一つ意識しているのが、伴走の体制です。単に「依頼する側」と「提供する側」に分かれるのではなく、一緒につくっていく関係を意識しています。こちらから要望を伝えるだけでなく、吉澤さんからも、どう進めるべきか提案をいただく。そうやって双方が持ち寄りながら形にしていく、共創型の伴走関係になれていることで、確度や納得度も非常に高く進められていると感じています。
5. 変化—3か月で、質問の質が変わった

研修の成果は、通常は事業の数字で語られます。ただ、開始から3か月の時点で数字は動きません。育成の効果が実務の判断を変え、それが業績に表れるまでには時間差があるからです。そこで秋元氏が先行指標として見ているのが、受講者から出てくる質問の質です。
秋元
わかりやすい成果の証明となると、事業が伸びた後になってしまうものだと思いますので、定量的に証明するのは現段階では正直難しいのですが、明らかに変わってきたと感じているのが、受講者の質問の内容やレベルです。PMMに求められる役割やマインドセットを徐々に自分ごととして捉え始めたことで、発言や考え方が変化しているのだと思います。育成というのは、すぐに数字が出るものではありません。だからこそ、時間もお金も「投資」として腹を括って向き合うものだと考えています。
一方、講師を務める吉澤にとって、手応えが読みづらかったのは2回目でした。総論から実務のフレームに入る回であり、難易度の設定が難しい局面だったためです。
吉澤
初回の全体像は比較的届きやすい一方、2回目の実務フレームは難易度の設定に悩みました。実施前は、手応えが読めない部分もありました。しかし終了後に、「自分の担当領域にはどう当てはめればいいか」と踏み込んだ質問が複数出たため、最初の実務フレームとして手応えを感じました。「分かりました」で終わる研修と、「自分の場合はどうなるのか」が出てくる研修とでは、意味がまるで違います。後者は、受け手が内容を自分の持ち場に持ち帰った証拠になる。型が届いたかどうかは、理解度ではなく質問の質に表れるんです。今後も実務編を重ねることで、多様な視点から質問の質が磨かれていくと期待しています。
秋元
もっとも印象深かったのは、初回のPMM概論です。一言で表現すると、衝撃と確信を得たという感覚でした。新しい知識を得たというより、自分が過去に取り組んできたことが次々と思い出されたんです。「自分がやっていたことは、PMMで言うとこういう意味だったのか」「こう体系化できるのか」と腑に落ちたことが、非常に印象的でした。すでに知っていたはずのことが、初めて名前を持った瞬間でした。
吉澤
型は、知らないことを教えるためだけのものではないんですよね。すでにやっていることを定義し、意味を持たせ、名前をつけて、他人に渡せる形にする。その働きのほうが、実は現場では効くことが多いです。名前がつくと、経験は初めて共有できるものになりますから。
秋元
しかも私の場合、そこに入っていたのは成功の記憶だけではありません。新規事業では失敗も繰り返してきましたが、そこで得た知識や経験が、今のPMMの仕事に生きています。その積み重ねがフレームワークによって言語化されたため、強く響いたのだと思います。
次に控えている論点と今後の構想
この3か月の手応えは、あくまで選抜された受講者の中で起きていることです。秋元氏の関心は、すでにその外側に向いています。
秋元
学びが個人の中に閉じているうちは、組織の力にはなりません。各部署から選抜されて受講したメンバーが自組織へ戻ったとき、周囲に働きかける存在になれるかどうか。そこを仕組みとして設計しなければ、投資は個人のスキル向上で終わってしまいます。共通の型と共通言語が浸透し、再現性を持って実践されて初めて、組織としての成果につながります。
そしてもう一つ、動き出す主体をどう増やすかです。事業企画や事業開発は、指示を待って進む種類の仕事ではありません。自分で機会を見つけて手を挙げる人が一定数いる状態を、どうつくるか。これはカリキュラムだけでは解けない問題で、組織の空気の設計に近いところがあります。
吉澤
私も同じ課題認識を持っています。型と共通言語は、その空気をつくる下地になります。何を良しとするかの判断のヒントが言葉で共有されていれば、先に動いた人の行動が周囲に伝わりやすくなります。
秋元
成果は今年度だけでなく、来年度以降、数年かけて現れるものもあると考えています。今後は、現在メインで受講している組織だけではなく、他組織にも「自分たちも受けたい」という動きが広がることを期待しています。正直に言えば、これは会社のためだけの話ではありません。ここで身につけた型と視野は、その人がこの先どこで何をするとしても効いてくるものです。社員一人ひとりのキャリアの良き土台になる。そういう育成をやりたいと思っています。
6. これから—「人の意識変革を促す研修」から、越境人材の育成へ

3か月を経て、秋元氏はこのプログラムを一言で表すなら「人の意識変革を促す研修」だと語りました。スキル研修という言葉から想像されるものとは、少し位置が違います。
秋元
知識を増やすだけでなく、ものの見方を変え、意識変革を促す。私自身のように、過去の経験をうまく整理できず、もやもやしていた人にとっては、それを体系化し、新しい視点で捉え直すきっかけになります。
吉澤
受講者がもともと持っている思考力や経験に、少し違う角度から視点を与える。すると、固まっていた考えがほぐれ、柔軟に考えられるようになりますよね。まさに意識変革を後押しする側面があると思います。
秋元
そしてこの意識変革は、事業側の変革と切り離せないものだと捉えています。私たち自身も、従来とは異なる事業に取り組み、仕事の仕方や考え方を変えようとしている。事業変革には人材の意識変革が欠かせません。その意味で、このプログラムは組織変革の一部を担うものだと考えています。
その延長線上に、両者が共通して見ているテーマがあります。「越境人材」です。日本PMM市場レポート2026では、PMMの78%が3つ以上の領域をまたいで働いており、AIの普及によって越境人材の職能価値が「上がる」と答えた比率は80%(平均4.2/5)にのぼります(同調査)。
吉澤
PMM育成を、私は「越境人材の育成」というテーマに昇華したいと考えています。ここでいう越境は海外へ行くことではなく、部門や職種の境界を越えることです。従来の縦割りの肩書きだけではなく、営業、マーケティング、プロダクトなど複数のスキルを掛け合わせ、横断的に価値を発揮する人材が重要になっています。
秋元
強く同意します。お客様の課題は、一つの製品やサービスだけで解決できるものではありません。私がSEやプロジェクトマネージャーとして提案を作っていた頃も、複数部署や製品・サービスを持つ人たちをつなぎ、全体を組み合わせる必要がありました。ビジネスを前へ進めるには、境界を越えて連携できる人材が不可欠です。
境界を越える相手は、これまで部門や職種でした。そこにもう一つ、越える対象が加わりつつあります。
秋元
これからは、部門だけでなくAIも含めて使いこなす越境人材が必要になるでしょう。AIは人の思考を拡張します。もともと複数職種を横断できる人ほど、AIを使ってより広い価値を生み出せます。一方で、前例のデータが何もない中で、誰が誰と組めば道が開けるかを一から考えるような仕事は、まだ人にしかできません。
結局、拡張されるのはもともとある思考の幅なんです。幅が狭ければ、AIは狭いまま速く動くだけになる。だからこそ、幅を先に広げておく必要がある。ここに、人材育成を急ぐ理由があります。2〜3年後には、現在の仕事の一部が大きく変わる可能性があります。だからこそ、自分の価値をどう高めるか、どのようなキャリアを築くかを今から考え、健全な危機感を持って成長する必要があります。人材育成とは、まさにそこへ向き合うことだと思います。
おわりに:「表面上できている」と「根づいている」は違う
対談の終盤、同じテーマに取り組む企業への助言として、秋元氏は外部の使い方について語りました。
秋元
これからはAIと一緒に仕事をする機会が増えます。一方で、複数部門の調整や、新しい価値を構想する仕事など、AIだけでは担えない役割も多く残ります。こうした能力を自社だけで育て切ろうとせず、外部の力を借りることが重要です。特に大企業は「自分たちでできる」と思いがちです。しかし、表面的に形を整えることと、組織に根づかせることは別です。表面上できている状態で満足せず、実践が定着するところまで外部の知見を活用する。その覚悟が必要だと思います。
プログラムが3か月で作り出したのは、質問の変化や個人の気づきだけではなく、「外の目を入れ続ける」という判断そのものへの納得感でした。型は一度導入して終わりではなく、事業が変わり続ける限り、更新され続ける必要があります。そのたびに社内だけで検証すれば、検証の物差しもまた社内の常識に収まってしまう。だからこそ、外部との関係を単発の発注ではなく、継続的な伴走として設計したことが効いています。
問われているのは、PMMという役職を置いたかどうかではないと実感しているところです。置いた人が、迷わず育っていける道筋を、組織としてどこまで用意できているか。その差は、今日明日には見えなくても、数年後には確実に組織の力の差になって現れると思っています。
NECが体現しつつあるのは、BluStellar Scenario が事業に持ち込んだ「型で再現する」という発想を、人の育成にもそのまま適用するという一貫性です。事業と人材、二つの変革を同じ設計図の上に置いたとき、現場で語られる言葉は自然と重なり合っていきます。
最後にーオフショット
収録を終えて。NECのみなさまと。

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